重富寛さんの、ビールスタンド重富への思い

今回は、少し番外編。
昨日、自分の夢、居酒屋開業の参考になればと、広島で、そして全国的にも有名な「ビールスタンド重富」のオーナー、そして重富酒店の社長である、重富寛さんにお話を伺いました。
そして、目からウロコのお話が多く、みんなにシェアしたいと思い、ブログ掲載の許可もいただきました。掲載前に重富さんに目を通していただいたので、多少の漏れはありますが、ほぼ間違ってはいないはずです。

一連の文章にするのは時間がかかりそうだったので、語録的に書き連ねていきました。
意味的には順不同なところがあるかもしれませんがご了承ください。ITの利用にも触れているところはあります。

インタビュー日:2014/6/2(月) 15:00-16:30



このビールスタンド自体を繁盛させたいわけではない。
自分のビールへの思い、姿勢が、他のお店に伝搬して、ここは閑古鳥が鳴くようになり、役割を終えることが、私の目標。

本当は、私のコピーが何人かいたら、日本酒スタンド重富、焼酎スタンド重富、などなど、並列で作りたい位。

注ぎ手の性格がビールに出る。自分はそう思わないが(笑)、私の性格はキツイので、味に出る。もう一人の方はまろやか。

温度管理、グラスの洗浄など、事前の準備がきちんとできていたら、合格点(80点)のビールは誰でも出せる。注ぎ手の技量は、2-3点の差を生むにすぎない。でも、その少しの差は大きい。注ぎ手によって、味が変わる。二人が同時に動画をとって重ねあわせ差分をとったらわかるかも?

グラスの洗剤はいろいろ試したが今のところヤシの実洗剤が一番いい。

洗浄の後、クロスで拭いてはダメ。自然乾燥すること。どんないいクロスでも、拭くことでクロスに残っている糸くず、脂分をグラスに戻してしまう。

お湯ですすいだら、水滴が落ちきる前にすぐ乾くので、水の中の不純物がグラスにのこってしまう。水ですすいで、水滴が落ちきってから乾くくらいがいい。純水ですすぐ店もあるが、普通の店では難しい。

以前、ビールスタンドの広さを広げたこともあったが、注ぎ手からお客さんが見えないこと、
逆にお客さんから注ぎ手が見えないという欠点があり、断念した。

前者は、この人のためにという気持ちを込めて注ぎたいため。
後者は、お客さんの視線を感じながらでないと、弱い私は、怠けてしまうため、必要。

以前居酒屋(四斗平)を経営していた時のジレンマ。
注ぎたてのビールを提供するタイミングと、できたての料理を提供するタイミング。
同時に満たすのはできない。

だから最初は、つまみは缶詰とか乾き物だけでいいと思っていたくらい。

ビールだけを考えても、大人数だと、最初に注いだ人の泡がなくなってしまったりする。
同時に注げる数に限度があるので。

「ビール大学」は、今年から始めようと思っていたがもう一年くらいかかりそう。
ビールスタンドを初めて二年。まだ、人に教えられる程のレベルではない。(本当?)
石の上にも三年というくらいなので。もう一年。

お客さんが店を育ててくれる。店がお客さんを育てる。どちらも大事。昔のお店はそういうことができていた。

本当のライフラインは人。電気ガス水道も災害数日後には大事になってくるが、
例えば津波に流されそうな時、手を引っ張ってくれる人が居ないと、それで終わり。


私は広島市全体のPTA会長(!)もつとめたりして、みんなに顔も覚えられているので
そういう場合は助けてもらえる自信がある。自負している。

これからの残り人生は、自分を育ててくれた流川に恩返しをする期間。

この周辺でバイトする人が、お店の人に、「まず重富いってこい」と言われ
数時間でも学んだあと、その後お店に帰っていく流れにしたい。

別にそこのお店が重富から仕入れていなくても関係ない。
お店にではなく、地域への貢献だから。

最近はどこも居酒屋ではなくて居食屋になっている。
酒のクオリティが低すぎる。(マイナス点)

なにか迷ったら私は銀座ライオン本店に行く。
ビールスタンドのアイデアも、そこで浮かんだ。

私にとってのパワースポット。長い歴史が生み出すパワー。

日本酒は、ワインなどと違い、どんな料理にも合わせることができる。日本人と同じ。
燗の温度、器の違いなどによって、味を変える。

燗の温度は同じ温度でも、最初からその温度にするか、いったんもっと熱くして冷ますか、によっても違う。


ITは、ゼロか1の世界でやるせない部分もあるが、
活用させてもらってる部分もある。ブログ、Twitter、FB。口で行っただけでは残っていかない部分はあるので。

開店当初、入店条件はFBでいいねを押してくれた人にしていた。入り口でその場でやってもらうこともできたので。それが拡散すれば、宣伝費もかからない。

某フリーペーパーに一年間掲載すると100万かかる。
そのお金を捻出するためにどこかにしわ寄せが来る。

ドメインsake.jpの前身sake.co.jpを1998年頃に取った。本当はsake.comが取りたかったが、すでに、鮭の組合に取られていた(笑)

他の大手酒造が、どのドメイン名売ってくれと来るかと思ったが、来なかった。来ても売るつもりは無かったが、その程度の認識かと思った。

ハレではなくケ(日常)が大事。。高いお酒でなく、普通のビール、普通のお酒を楽しむ手伝いをしたい。ピラミッドの底辺を広げるようなイメージ。

例えばゴールデンガーデンさんはいろんな種類のビールでピラミッドを高くしていく。
うちと役割が違う。分担し、その両方で、ピラミッドの面積を広げることができると思う。

社会が壊れてるのは、居酒屋のビールが美味しくないから。と私は思う。

美味しいもので、人は自然と笑顔になる。張り詰めていた糸が、少し緩む。

心が折れるときは、張り詰めていた糸に、羽一本触れただけでも、折れてしまう。

交通事故での年間死者が1万人弱なのに、自殺者は3万人。しばらく経って死亡を含めたらもっと多いはず。減らしたい。私は美味しいビールの提供によりそれを行っていく。